ウェブデザイン技能検定の学科試験は、コーディングの知識だけでなく、ネットワーク、デザイン、アクセシビリティ、法規まで横断的に問われます。範囲が広いため、やみくもに問題を解くよりも「分野ごとに何が問われるのか」を把握してから取り組むほうが効率的です。このページでは、分野別の要点と学習の進め方を整理しました。
1. 分野別の要点
インターネット概論・ネットワーク技術
毎回一定数が出題される得点源です。用語を「名前だけ」覚えると選択肢で迷うため、役割・階層・対になる概念をセットで押さえます。
- TCP/IP の階層(アプリケーション層/トランスポート層/インターネット層/ネットワークインターフェース層)と、各層に属するプロトコル。
- TCP と UDP の違い(コネクション型か/再送や順序保証の有無/向いている用途)。
- DNS の役割と名前解決の流れ、ドメイン名の構造、A レコードや CNAME といったレコードの種類。
- HTTP と HTTPS の違い、代表的なステータスコード(200/301/302/304/403/404/500)の意味。
- IPアドレス(IPv4 と IPv6、グローバルとプライベート、サブネットマスクの考え方)。
- よく使われるポート番号(HTTP 80、HTTPS 443、FTP 21、SMTP 25、POP3 110、IMAP 143 など)。
HTML と CSS
書けることよりも、要素の意味(セマンティクス)と仕様上の正しさが問われます。「見た目が同じでも意味が違う」という観点が重要です。
- 文書構造を表す要素(header、nav、main、article、section、aside、footer)の使い分け。
- 見出しレベルの正しい階層、リスト(ul/ol/dl)、テーブル(th の scope、caption)の適切なマークアップ。
- フォーム部品と label の関連付け、input の type 属性、必須やエラーの伝え方。
- セレクタの種類と詳細度(specificity)の計算、継承とカスケードの優先順位。
- ボックスモデル(content/padding/border/margin)、box-sizing、マージンの相殺。
- Flexbox・Grid の基本、position の種類、メディアクエリによるレスポンシブ対応。
- 文字コード(UTF-8)、DOCTYPE、meta 要素(viewport、description)の役割。
JavaScript とクライアントサイド技術
- 変数宣言(var/let/const)の違い、データ型、比較演算子(== と === の違い)。
- 関数・イベント処理の基本、DOM の考え方と代表的な取得・操作メソッド。
- 同期と非同期の違い、クライアントサイドとサーバーサイドの処理の分担。
- Cookie・Web Storage(localStorage/sessionStorage)の違いと使いどころ。
アクセシビリティとユーザビリティ
配点として無視できない分野で、かつ実務でも直結します。「誰のために、何を保証するのか」という視点で覚えると定着します。
- WCAG の4原則(知覚可能・操作可能・理解可能・堅牢)と適合レベル(A/AA/AAA)。
- JIS X 8341-3 の位置づけ、ウェブアクセシビリティ方針の考え方。
- 画像の代替テキスト(装飾画像は空の alt)、動画の字幕、色だけに依存しない情報伝達。
- コントラスト比の基準、文字サイズの可変性、キーボードのみでの操作とフォーカス表示。
- ユーザビリティ(使いやすさ)とアクセシビリティ(利用可能性)の違い、ユーザー中心設計の流れ。
デザインと色彩
- 色の三属性(色相・明度・彩度)、色相環、補色や類似色を使った配色。
- 加法混色(RGB)と減法混色(CMY/CMYK)の違い、Webでの色指定方法。
- 可読性・視認性・判読性の違い、和文書体(明朝/ゴシック)と欧文書体の特徴。
- 画像形式の使い分け(JPEG/PNG/GIF/SVG/WebP)、ラスターとベクターの違い、解像度と圧縮。
- レイアウトの基本原則(近接・整列・反復・対比)、グリッドと余白の設計。
情報設計とサイト運用
- 制作工程(要件定義 → 情報設計 → デザイン → 実装 → テスト → 公開 → 運用)の流れと各工程の成果物。
- サイトマップ、ワイヤーフレーム、プロトタイプの役割の違い。
- ディレクトリ構成とファイル命名、絶対パスと相対パスの違い。
- 公開・更新の手順(FTP/SFTP)、バックアップ、アクセス解析にもとづく改善。
セキュリティ
- 共通鍵暗号と公開鍵暗号の違い、SSL/TLS とサーバー証明書の役割。
- 代表的な攻撃手法(クロスサイトスクリプティング、SQLインジェクション、CSRF、フィッシング)とその対策。
- 認証と認可の違い、パスワードの管理、多要素認証。
- マルウェアの種類、ファイアウォールの役割、脆弱性対応の考え方。
法規と標準化
- 著作権法:著作物の定義、著作者人格権と財産権、引用の要件、フリー素材の利用条件。
- 個人情報保護法の基本、個人情報の取得・利用・第三者提供のルール。
- 特定商取引法・景品表示法など、Webでの表示に関わる法令の基本。
- 標準化団体(W3C、IETF、ISO、JIS)の役割と、勧告・規格が果たす意味。
2. 混同しやすい用語の整理
| ユーザビリティ/アクセシビリティ | ユーザビリティは「使いやすさ」、アクセシビリティは「多様な人・環境で利用できること」。両者は重なるが目的が異なります。 |
|---|---|
| TCP/UDP | TCP はコネクション型で確実性重視、UDP はコネクションレス型で速度重視。用途の違いで判断します。 |
| Cookie/Web Storage | Cookie はサーバーへ自動送信され容量が小さい。Web Storage はブラウザ内に保持され、サーバーへ自動送信されません。 |
| 301/302 | 301 は恒久的な移転、302 は一時的な移転。SEO上の扱いが異なります。 |
| RGB/CMYK | RGB は光の加法混色(画面向け)、CMYK はインクの減法混色(印刷向け)。 |
| 認証/認可 | 認証は「誰であるか」の確認、認可は「何をしてよいか」の許可。 |
| 絶対パス/相対パス | 絶対パスは起点が固定、相対パスは現在のファイルからの位置関係で指定します。 |
3. 級別の学習の進め方
3級
Web制作の入門レベルにあたり、用語の意味を正しく理解できているかが中心に問われます。まず一問一答をひととおり解いて、知らない用語を「単語帳」で覚えるサイクルが効率的です。解説を読んで理解できない用語が出てきたら、その分野を上の要点リストで確認し直すとつながりが見えてきます。
2級
3級の知識を前提に、実務での判断が問われます。「この状況ではどの方法が適切か」という問い方が増えるため、用語の暗記だけでは足りません。選択肢の一つひとつについて「なぜ不適切なのか」を言葉にできるかを基準に復習してください。間違えた問題は自動で記録されるので、正答率が安定するまで繰り返すのが有効です。
1級
最新の技術動向や標準化の状況、マネジメントに近い観点まで含まれます。過去の知識のアップデートが必要になるため、仕様書やガイドラインの原典(W3C の勧告、JIS 規格、各種公式ドキュメント)にあたる習慣をつけると強みになります。ブックマーク機能で判断に迷った問題を残しておき、直前に集中して見直すとよいでしょう。
4. 直前期の総復習のコツ
- 間違えた問題から着手する。 正解できる問題を解き直す時間対効果は低いため、記録された誤答から潰します。
- 用語は声に出して定義を言えるか確認する。 選択肢を見て思い出せる状態と、自分で説明できる状態は別物です。
- 数字が絡む項目をまとめて確認する。 ポート番号、ステータスコード、コントラスト比の基準値などは直前の確認が効きます。
- 単語帳モードで高速に回す。 試験前日は新しい知識を増やすより、既習の用語を素早く思い出せる状態に整えるほうが有効です。
準備ができたら、トップページから受験する級を選んで学習を始めてください。